ガス抜き
ガス抜き(-ぬ-)とは、ある空間に充満した気体を、その外部へ放出することである[1]。
日本語で言うガスとは、何らかの特筆性のある気体を指すことが多い。しかし、本来の英単語"gas"は、空気を含めた全ての気体を指す。ガス抜きという用語を使う場合、放出するガスの種類には空気も含める。
ガスの種類[編集]
抜かれるガスの種類は、大まかに次のように分類できる。
- 生物の内部に溜まったガス(屁・ゲップ・アクビなど)
- 生物が溜め込んだ気(怒気・殺気・毒気・色気・ヤル気[2]など)
- 建築物・くぼ地・地下構造物などに溜まった有毒ガスや可燃性ガス
- 道具や装置に人為的に充填したガス(浮き輪・風船・空気のお人形など)
- その他、発酵食品から発生したガス(発酵食品・パン生地などのガス抜き)など
生物に溜まったガス[編集]
この典型は、なんといっても屁である。屁の放出は、放屁と呼ばれることが多いが、ガス抜きと呼ばれることも少なくない[3][4]。
屁の発生のメカニズムについては該当記事に詳しいが、成人で1日あたり最大2.5リッター程度の屁が生産されると言う[5]。吉田兼好の『徒然臭さ』にも「出さぬは腹ふくるゝわざ」とあるように、体内に大量のガスを溜め込むと、腸が膨らみ他の臓器を圧迫したり、腸管で吸収されたりして体に悪影響を与える。したがって、もよおしたときには必ず放出するだけでなく、溜まりやすい体質・生活習慣の人はヨガなどでより積極的にガス抜きすることが、健康を保つために必要である。
ゲップ・アクビは、つまるところ口から出る屁[6]そのものであるので、これも健康のためには積極的にガス抜きしたほうが良い[7]。
ただし、以上の指摘は健康面についてのものであり、マナーや対人関係で問題が生じても当局は一切関知しない。
生物が溜めた気[編集]
生物、特に人間は、前の節で取り上げたガスのほかにも様々な気を溜め込む。怒気・殺気・毒気・色気・ヤル気などであるが、このような気を分散させることは、一般には「~気を削ぐ」と表現する。しかし「毒気を抜く」や「色気抜き[8]」など「抜く」表現も少なくない。
人間が溜めた気のガス抜きとして、一番普通に使われるのは、怒気(や不平不満、エスカレートすると殺気にもなる)のガス抜きであろう。また、このときに溜まっているガスは、不穏な空気とも表現される。
ガス抜きの方法としては、ガスが溜まっている人物に対して
- 話し合いをしたり、愚痴を聞いてやる。
- 物・金・地位を与えて懐柔する。
- 酒・麻薬・覚醒剤を与えて思考能力を奪う。
- 遠いところに行ってもらう。
などの対策を行う。
その他には、ガスが溜まる前に無気力にしておくという根本的な予防方法もある。昭和時代では、酒を飲みながら愚痴を聞いてやるというガス抜き手法が良くとられた。しかし平成期以降になってくると、青年層に対して以前の手法が通用しなくなっている。したがって、そのような世代にガスが溜まらないように、ゲームや二次元コンテンツなどを与えたり、逆に職を与えなかったりして自宅警備員に任命し、ガスを溜めそうな人物をできるだけ社会に出さないような政策が採られている。
建築物などに溜まったガス[編集]
古くは坑道・井戸などの地下施設に溜まった可燃性ガスや有毒ガス[9]などを除去するガス抜き作業があった。また、自然の地形であるくぼ地でも、近辺に火山性ガスの噴出がある場合や、ゴミ処分場などからのガスの発生がある場合など、ガスの除去が必要になる場合がある。
ガス検知器がない時代は、鳥などの小動物を先にその場所に入れ、ガス抜きが必要かどうか確認することがよく行われていた。現代では、ガス検知器を用意していない場合や、予めの検知が必要ではないと判断されるときは、勇気がある人あるいは立場が弱い人が先に入って確認することもよく行われている。ただし、予想が外れて、人柱となった人々に追悼がささげられることも少なくない。
また、優秀なるゲルマン民族はシャワー室に、オウム真理教は地下鉄車両に、それぞれガスを充満させガス抜きを行う実験を行ったが、知能不足の実行者によって多くの被害を生むに至った。
道具類の封入ガス[編集]
基本的には、使用中にはガスを抜かないほうがよい。海で使用中の浮き輪や救命ボート、飛行中の気球、使用中のお人形…ガスを抜いてしまうとろくでもない結果となる。
発酵食品[編集]
醸造酒類を含めて、発酵を利用して作る食品類では二酸化炭素などのガスが発生する。ビールやシャンパンのようにガスが必要であればそのままであるが、ガスが過剰あるいは不要である場合はガス抜きが行われることも多い。
ただし、発酵とは腐敗の別称に他ならないなので、強烈な悪臭を伴うことも少なくない。シュールストレミングやくさやの悪臭を周囲にぶちまけた場合は、君もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しない。