コンプライアンス
コンプライアンス (Compliance) とは、(要求されたことなどに)従うこと、という意味の英語である。日本では「法令遵守」と訳されることが多いが、これは、あまりにも法令を遵守しない企業が多いために困り果てた官僚のみなさんが、横文字を使ってカッコよく言えば多少は守ってくれるんじゃないだろうか、という儚い希望をもって「コンプライアンス」という言い換えを使いはじめたことによるものであって、もともとの意味はそれだけに限られるわけではないことに留意されたい。本稿では主に企業におけるコンプライアンスについて記述する。
概要[編集]
「コンプライアンス」とは、上記のように第一義的には「(要求されたことなどに)従うこと」である。この語義を尊重する日本では、次のような用例が確認されている。
用例1[編集]
上述の通り、「法令遵守」の意。ここでは、「要求されたことなど」とは法令を指す。主に東京都千代田区霞が関一帯にみられる用法である。しかし法令は、霞が関一帯以外にいる人にとって、滅多に目にすることがないものであり、そのような人にとって法令は、日常的には「要求されたこと」にはあたらない。したがって、このような地域では、コンプライアンスすなわち法令遵守は、「たまに見たり思い出したりして守ってみることもある」の意となる。言い換えれば「努力目標」のことである。
また、この用法でいうところの「コンプライアンス」はモラルとは異なるので、企業のある行為が、いかにモラルに反し神をも恐れぬ獣にも劣る非道なものであったとしても、とにかく法令を遵守さえしていればコンプライアンス違反とはされない。したがって、企業法務を行う弁護士にとっては、いかに法令の穴や抜け道をかいくぐるか、というのが仕事の95%以上を占めることになる。ちなみに残りの5%はセクハラの訴えを起こそうとする女性社員を説得して低い金額で示談に持ち込むことである。
用例2[編集]
「(企業を守るために)従業員が何かを強制され、それに従うこと」の意。近年、大企業の一部にみられる用法であり、この場合「要求されたことなど」とは業務上の命令を指す。しかしこのような企業では、いろいろな意味で「官僚の人たちに親しい」人がいることが多く、そのため法令が即業務上の命令に早変わりすることが多い。業務上の命令は、一般に以下のような形となる。「新たな法令ができました。違反しては会社が危なくなるからなりません。従業員は手続きが面倒になろうが残業が増えようが守りなさい。え、何、労働基準法?……お察し下さい。」
用例3[編集]
「従業員を守るために企業が何かを強制され、それに従うこと」の意。この場合「要求されたことなど」とは例えば労働基準法を指す。この用法は理論上存在するはずであるが、日本においてはその存在が実証的に示されたことはない。
コンプライアンス違反[編集]
コンプライアンス違反とは、エクストリーム・謝罪で上位入賞するためにきわめて有効な手段である。
特にコンプライアンス違反を起こしやすいのは、社長が「ワンマン」で「アイデアマン」である場合である。多くの場合そのような企業は同族経営であるので、実質的に誰も社長の思いつきにブレーキをかけることができない。また、そういう社長の多くは叩き上げであり学歴コンプレックスを抱えていて、弁護士という人種に対して屈折した敵愾心を抱いているケースがほとんどで、企業法務の専門家も口を出す余地がないために、下地は十分に整っている場合が多い。
そこで、一度コンプライアンス違反が明らかになってしまうと、それらの企業は一挙に信用を失ってしまうことになる。ワンマン社長の場合は「コンプライアンス」という概念自体が理解できないために、そんな聞いたこともない言葉で自分のアイデアが否定されたことに対して激しい怒りを覚え、周囲の神経を逆なでする言動によって自己の正当性を主張することになり、エクストリーム・謝罪においてはより一層の高得点を得ることができる。
モラルハザード[編集]
新自由主義による市場原理至上主義において、官から民への掛け声とともに公的サービスの民営化や規制緩和などから起こる改革利権のことである。[要出典]郵政民営化によってかんぽの宿など国民の財産が投げ売りされたことは記憶に新しい。これらのコンプライアンスの名の下になにをやっても許されていることをモラルハザードという。