ステルスマーケティング
ステルスマーケティングとは、一般人に宣伝と気づかせずに何かを宣伝し、一般人の心理を宣伝対象物への興味や購買欲で満たしたり、思想をある方向に固めたりする心理的マーケティング手法である。
目次
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[編集] 概要
定義文や「ステルス」という題目の通り、「宣伝と気づかせずに行う」のがステルスマーケティングの特徴である。さりげなく普段の会話やメディアの論説系記事などに宣伝対象の商品や思想を賛美する一言を混ぜ込み、それを繰り返すことによって一般人の頭の中を「これを買わないと時代遅れになる!!」と焦りでいっぱいにしたり、「その考えは時代遅れ」と思わせたりして、一般人の行動をマーケッターが狙った行動に導く。流行の兆しすら見えない商品を「○○ランキング1位」「××で大人気」として何の脈絡もなくランキング系番組やワイドショーなどで突然紹介したりする手法もステルスマーケティングの定義に含まれる。所謂「流行誘導型マーケティング」の1つである。
21世紀に入ってからはブログや2ちゃんねるなどを使用した「ネット工作系」の手法が話題となっているが、その歴史は意外に奥深く、中には国家ぐるみで行われるケースもある。以下、歴史と共にステルスマーケティング手法を解説する。
[編集] ステルスマーケティングの歴史
[編集] 神聖商法(古代~)
宗教団体がごくありふれた商品を有りがたいもの、あるいは不浄でないものとして教義に組み込むことで、商品の需要を著しく底上げするマーケティングである。宗教ある所必ず行われるステルスマーケティングであるが、キリスト教によるワイン、イスラム教によるコーヒー、神道による日本酒、創価学会によるお~いお茶、統一教会による壺が今日特によく知られているものである。
[編集] 王皇商法(中古~)
絶対服従を強いる者や、あるいはその取り巻きが特定の商品を好んで用いることで商品の購買を促す手法である。
最も歴史的にこのステルスマーケティング手法を多用したのはフランスである。例えば香辛料を独占して世界制覇を目論むオランダに対抗して、香辛料が原則不要なソースによる味付けを「フランス料理」として王侯貴族によるステルスマーケティングを行った。これにより香辛料の価格は暴落し、オランダはイギリスと仲違いして惨敗、以後西欧の中では小国としての地位に甘んじることとなった。また、単なる北イタリア上流階級の民族舞踊に過ぎなかったバレエを国王自らが振付し舞踊会を開くことで、オーストリアの社交ダンスの勢いを抑え、ロシア、アメリカ、東アジア諸国、ひよこ大王国でもグローバルに通用する上流階級の嗜みとして定着。国内トウシューズメーカーや衣装メーカーの利益誘導を行った。
日本の皇室も例外ではない。古くはやおい小説や日記ダイジェストおよび関連本の販促でステルスマーケティングを行った他、現代に入ってもミッチーカットや日本赤十字社の役員職務遂行等を通じてステルスマーケティングが行われている。
[編集] 健康食品商法(紀元前210年頃~)
怪しい物体や食品などを「健康に良い」「病気が治る」と何の根拠もない噂を流して販促を図るマーケティング手法。記録に残っている所では、中国の秦の時代に「仙薬」の噂に騙された始皇帝が水銀を不老不死の薬として探し求めるという、現代では考えられない行動に走らされていたのが起源とされている。
この手法は現代でも現役であり、1990年代に癌が治るというフレコミで突然流行った「野菜スープ」や、2000年代にみのもんた経由で嘘の健康情報を流させて全国レベルで品薄になった「納豆」、そして何が入っているのか分かったものじゃないサプリメントなど健康食品系がステルスマーケティングに向いている事を示す事例は数多い。また「知人」(大概、長期間連絡を取っていない間柄)を利用した形で健康食品を宣伝と気づかせずに売り込むことがあり、こちらはマルチ商法とも呼ばれる。
[編集] 行列商法・サクラ(江戸時代~)
所謂「縁日」などのイベントに出てくる「的屋」(テキヤ)と呼ばれる屋台や大道芸人などに対して、それらが繁盛していると一般人に錯覚させるために、売り手の部下達や臨時に雇ったアルバイト(サクラ)を一般人になりすまして売り場や催物会場に集結させ、何も知らない一般人から「あそこ繁盛しているなあ。何だろう」と興味を引くマーケティング手法である。
その起源は江戸時代にあるとされているが、「的屋」自体は平安時代から存在していたことから、この商法自体が平安時代から存在していた可能性がある。
この手法は近現代でも現役であり、例えばマクドナルドが新商品を発売する時に人材派遣会社から1000人単位の日雇いバイトを派遣してもらって特定店舗に並ばせてその様子をマスメディアに撮影させるという形で時々垣間見ることが出来る。
[編集] ハイカラ商法(1899年頃~1930年頃、2004年頃~)
文明開化が進んである程度年月が経った明治時代後期の1899年、毎日新聞の記者石山半山がわいせつワイシャツ業界の広告担当に頼まれて「襟付きワイシャツ」を「ハイカラ」(high collar)というマーケティングキーワードと共に流行アイテムとして紙面の『当世人物評』で紹介し、ステルスマーケティングの先駆けとなる。
その後はワイシャツ以外でも服飾品・食品・嗜好物などありとあらゆる商品を売り出す時のステルスマーケティングフレーズとして「ハイカラ」の単語が昭和初期まで使用され続けた。正確な記録に残っている中では最古のステルスマーケティングの記録である。
この手法は21世紀に入ってからやや形を変えて復活し、主に電通などの広告代理店や日本経済新聞社などのマスメディアが「Web2.0」「BPM(BRMS)」「クラウド」「ビッグデータ」「女子力」「カフェオレ様」などのよく意味が分からないバズワードを掲げてあたかも最先端の概念としてゴリ押しを行い、新たな流行を喚起するという様相が連日繰り広げられている。
[編集] 玉砕商法(1944年~1945年)
国家ぐるみでステルスマーケティングが行われた時代。常に士気の高い生贄志願兵を確保することを目的として、戦争の戦果を都合の悪い部分はひた隠しにする報道工作を行ったり、「欲しがりません勝つまでは」という太平洋戦争末期の象徴的なフレーズを政府がマスメディアを通じて連日記事に織り込むように指導して、国民1人1人の思想をこのフレーズでほぼ統一する事に成功した。
また戦局がいよいよ怪しくなってくると「一億玉砕」のフレーズを同じくマスメディア記事に織り込むように指導して、「戦争を否定する者は非国民」「お国のために死にます」と毎日朝から叫びだす人達を大量生産することに成功した。早い話が洗脳である。
[編集] 御用学者商法(1950年代後半~)
企業が著名大学の教授に「研究補助費」という名目の広告費を渡して、研究結果の発表内容(研究結果ではない)をその企業の都合の良い内容に置き換えて発表してもらい、企業のイメージアップまたはイメージダウン防止を狙うマーケティング手法。
この手法の存在が世間に認知されるようになったのは水俣病が騒がれ始めた1950年代後半からである。今となっては誰がどう見てもチッソの瑕疵であるメチル水銀の垂れ流しを、当時チッソから研究費を毎年頂戴していた東京大学の御用学者達がいろいろ理由をつけて全否定し、その意見に歯向かった熊本大学の教授達に禁則事項ですを行うことでチッソのイメージダウンを全力で阻止した。
その後は最終的に御用学者達の意見が全否定されてチッソは1970年に入る頃にはほぼ倒産状態になったが、普通の企業なら即死モノである水俣病が発生してから10年以上もチッソの企業生命を延命出来たマーケティング効果は、ステルスマーケティングの最高傑作として21世紀の今でも他の追随を許さないと言えよう。
この手法は21世紀に入っても現役であり、例えば「原発は安全」「ストレステストでOKが出た」「緊急時は爆破弁というものがある」などという安心フレーズを御用学者に言わせて原発の設置や稼働を進めるという事が行われている。
[編集] 資源枯渇商法(1970年代~)
石油などの資源が何らかの理由で枯渇すると見せかけ、その資源を原料として作られている製品の需要を無理やり跳ね上げるマーケティング手法。最も顕著にマーケティング効果が現れたのは第一次石油危機(オイルショック)の頃であり、トイレットペーパーが物凄い勢いで売れていた。
この手法はその後「売り切れ商法」や「閉店商法」という形に変えて、ステルスではない通常のマーケティング手法として定着している。
[編集] 雑誌活用商法(1980年代後半~)
ハイカラ商法の上位互換版。バブル景気に湧いたこの時代は、毎年ある時期になると「今年の流行はコレ!!」というキャッチフレーズがファッション雑誌を中心とした一般雑誌の表紙や中吊り広告を飾るようになっていた。もちろんこれらは雑誌の宣伝を装った商品の宣伝であり、この手法でバスケットシューズやトートバッグといった雑貨や、ティファニーやポロ・ラルフローレンを始めとした各種海外ブランド製品など多数の服飾品が一時的に入れ替わり立ち替わり流行した。しかし作られた流行は決して定着せず、数年持たずに商品が消えたりブランドごと陳腐化していったケースは数多い。
それでも「商品ライフサイクルが短い商品を短期集中販売したい」というメーカーサイドの思惑に一番合致しているマーケティングがこの手法であることから、現在でも時々「流行(見込み)商品紹介記事」という形でステルスマーケティングが行われている姿を垣間見ることが出来る。
[編集] アンケート・ランキング商法(1990年代~)
ある商品や人物、団体などに関して、名も知らないアンケート結果やランキングを突然発表し、その内容をマスメディアに取り上げてもらうことで商品や人物の知名度を上げたり、高い支持を得ているように見せるマーケティング手法。何処でどうやってどれくらいのアンケートを取ったかは一切不明であることも多い。
商品に対するランキングを活用する場合は一定以上の知名度があるタレントを1位に据えることも多く、タレントの名前を利用してマーケティング対象の知名度がアップするだけでなく、タレント側にもその商品をタダでもらえるなどのメリットがありWin-Winの関係が成り立っている。主にマーケティング対象となるものは服飾品・宝飾品・飲食物であるが、原子力発電所の設置や稼働再開といった国家的イベントに際してもこの手法が取られることが度々ある。
[編集] インターネット商法(2000年代~)
インターネットのWebサイトを活用したマーケティング手法。ある商品に対する賞賛行為(またはその逆)を一般個人に扮した関係者などが個人のサイト(所謂勝手サイト)や商品紹介ページのレビュー欄などに書きこんで商品がさぞ優良であると一般人に認識される手法。ネット掲示板を使った企業や団体等に対する評判誘導もこの商法に含まれる。2012年になって「ステマ」として脚光をあびるようになったのはこのタイプのマーケティング手法である。
インターネットの広がりと共に規模・手口も拡大し、2012年には数十社以上のインターネット活用型ステルスマーケティング業者が企業活動を行うようになり、様々なマーケティング手法が開発された。なお、よく勘違いされやすいがアフェリエイトは一応「広告」であることを謳っているのでステルスマーケティングには含まれない。
[編集] ネット掲示板型
2ちゃんねるなどのネット掲示板を活用して行われているマーケティング手法。但しどちらかと言うと宣伝側の競合他社に対するネガティブキャンペーンや自社に対する評判悪化を防ぐことが目的であることが多く、「ネット風評監視サービス」という名称で多数の企業がサービスを提供するようになっている。
[編集] 商品レビュー型
複数の一般人を装ってマーケティング対象の商品に対する賞賛レビューを書き込み、その商品が優良であるとサイト閲覧者に誤認させる手法。AmazonなどのBtoC型電子商取引サイトや食べログなどのレビュー投稿型サイト(クチコミサイト)がマーケティング現場になることが多い。特にクチコミサイトは複数の一般人を装ったステマ投稿(所謂ソックパペット行為)に対する備えを行うことが仕組み上困難であり、ほぼステマの餌食に遭っていると考えて差し支えない。またこの手法はオークション詐欺にも応用され、自作自演の小額取引を何度も行なって「優良」という評価がセットされた詐欺師が大口の詐欺取引を仕掛けるという詐欺モデルにもなっている。
[編集] ブログ型
一般人装った関係者がブログを開設し、そのブログの中でマーケティング対象を賞賛する形で宣伝を行う手法。2005~2006年頃には「手軽でカラダを汚さない小遣い稼ぎ」として主婦や女子大生が大量にステマ要員に志願し、雨後の筍のような勢いでステマブログが量産されていた。
しかしステマブログをやるにはある程度情報提供内容の辻褄を合わせるテクニックが必要であり、それを軽視したステマ要員が即バレして2ちゃんねる等で祭り化してしまう例も多々発生した。右の写真の例では、「メカ音痴の女の子」という設定だったり、「自分のパソコンがmacだったことに気づき、激チン。。。」などと白々しいことを書いていたにも関わらず、別の写真にはあからさまに使い込んだWindowsPC用のキーボードが写真に写り込んでいたり、明らかに2本以上照明を使った写真を掲載していたために、即座にステマブログであることがバレてコメント欄が大炎上。指摘に対する言い訳がさらに失笑ものだったこともあって、ネット上の様々な場所に飛び火した。ある意味では大変有効な炎上マーケティングと言えなくもない。
その影響で一時期この手法は鳴りを潜めていたが、ほとぼりが冷めた2009年以降になるとタレントなどが使っても居ないサービスや商品をオフィシャルブログ上で「これいいですよ~」というフレーズと共に紹介するケースが目立つようになり、商品の知名度アップとタレントの収入安定化というWin-Winの関係がインターネット上で垣間見られるようになった。
[編集] ソーシャルメディア型
ツイッターやmixi、Facebookなどのソーシャルメディア(SNS)で一般人を装った関係者がマーケティング対象の商品やサービスを「いいね!」と宣伝する手法。一定以上のフォロワーや「お友達」が居る宣伝用アカウント(ユーザーではない)や何処かのネット関連企業の幹部などがマーケティング仕掛け人になる事が多いが、SNSのキーワード検索で多数引っかかるように大量に作られた宣伝用アカウントがボットのごとく定期的に宣伝フレーズを書き込むケースもある。
ソーシャルメディアを活用したステルスマーケティングの実施風景として、「楽天 保険」でツイッターのツイート検索をすると右図のような結果が出てくる。これの大量にツイートが流されていれば「楽天で保険を見直さなければ!!」という焦りで頭がいっぱいになる一般ユーザーが多数出てきても決しておかしくはない。しかもツイートそのものは無料であり、安価に広告が打てるのもこの手法の魅力である。
[編集] アクセス数アップ型
マーケティング対象の人物や商品を扱っているサイトに集中的にアクセスし、人気があることを偽装する手法。YouTubeがマーケティング現場として利用されることが多く、「○○(ステマ対象のタレント)の人気爆発!!動画に1週間で200万アクセス!!!」という形でマーケティングが行われる。K-POPの宣伝で行われることが多い。
[編集] Wiki活用型
ウィキペディアなどの著名なWikiサイトに一般ユーザを装って自社や自社商品に関する記事を作成して知名度を上げたり、それに関する賞賛文の執筆や批判文の削除を行なって企業や商品のイメージを向上させる手法。逆に競合他社を批判する記事を書いて他社のイメージダウンを図る手法も存在する。
この手法は世界中で行われており、フランスでは2011年にウィキペディア上のライバル企業の記述を削除した企業が損害賠償を命じられる事態が発生し、日本でも大手企業や政府機関の多くがウィキペディア等のWikiサイトを活用したステルスマーケティングを実施している。
また2009年にはウィキペディア記事作成を代行する会社の存在が確認されており、当時アンサイクロペディアでも笑いのネタにされていた。
[編集] エコ商法(2009年~2010年)
国が行った景気対策の1つ。エコポイント制度を作って国家ぐるみで「エコ」と名のつく商品の販売サポートを行い、マスメディアを使って「環境のために省エネ(エコ)商品を買おう」という空気を醸し出させて低燃費自動車や液晶テレビなどの電器製品の売上向上を計った。しかしこの手の景気対策は需要の先食いにしかならず、2011年度はエコポイント終了の反動でテレビの販売額が前年比70%ダウン、自動車各社も国内販売額が急落するなど悲惨な状況に陥った。
[編集] 最後に
ステルスマーケティングには様々なマーケティング手法があるが、その手法は世の中に晒されてしまうとマーケティング手法として命を奪われてしまうことが多い。晒された瞬間、その手法は「ステルス」には成り得なくなるからである。その逆もまたしかりであり、今はこの記事に書かれていない別のステルスマーケティング手法が編み出され、既に何処かで実行されているかも知れない。
[編集] 関連項目
- 詐欺
- サクラ
- 工作員
- エクストリーム・ブログ
- 韓流
- K-POP
- 食べログ
- Amazon
- 東京大学 - 大学教授の肩書きを持つ優秀なステマ要員を長年にわたって育成
- マスコミ - 現代のステマ基盤
- フラッシュマーケティング
- UnTunes:ステマつける