ダ・ヴィンチ・コード
ダ・ヴィンチ・コードとは、ダン・ブラウンが書いた小説。のちにロン・ハワード監督トム・ハンクス主演で映画化もされている。
概要[編集]
聖杯のなぞ[編集]
この小説の前提となっているのは、「ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』には聖杯が描かれていない」ということなのだが、そもそも聖杯はちゃんと描かれているのである。キリストの右手(向かって左)のすぐ前に、ワインが半分弱ほど入ったコップがちゃんと置かれている。なんか聖杯というと豪華な装飾がついた脚付きのブランデーグラスみたいなものを想像しがちだけど、そもそもそんなものを持ち歩けるほど余裕のある状態ではなかったのだから、別にコップでもいいのである。
聖杯は『最後の晩餐』の中にちゃんと存在している。当然「聖杯としてのマグダラのマリア」なんてものの存在を仮定する必要など最初から存在しないのである。さあ困った。
シオン修道会[編集]
しかも、困ることはこれだけではない。物語の鍵を握ると言われているシオン修道会である。名前はやたらとかっこいいこの団体、しかもものすごいビッグネームが歴代の会長として名を連ねていて、その中にはダ・ヴィンチの名前もあるわけなのだが、そもそもこの歴代の会長というのが、あまりにもうさん臭い。
- ロバート・ボイル(ボイル=シャルルの法則を発見した人)
- アイザック・ニュートン(リンゴが落ちる法則を発見した人)
- ヴィクトル・ユゴー(『レ・ミゼラブル』を執筆した人)
- クロード・ドビュッシー(『月の光』を作曲した人)
- ジャン・コクトー(『恐るべき子供たち』を執筆した人)
こんな並びを見せつけられたら、うさんくさいと思わない方がどうかしている。マグダラのマリアから連なるキリストの子孫を守るなどという、もし本当ならものすごく大事な任務を抱えていたら、気体の体積と圧力の関係だの万有引力の法則だの研究しているヒマなんてまるでないはずなのである。
案の定、シオン修道会は「秘密結社作成マニア」みたいな人が1950年代以降に、自分もこれらのビッグネームとともに名を列ねる大物であると主張するためにでっちあげたものであることが今日でははっきりしているのである。まあ詳しいことは右側のびょんびょんしてる球体を参照してください。
考察[編集]
そもそも、小説を書くのに、その前書きに「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている。」なんて書いちゃうのはどうよ、ってことなのだ。そのおかげで、たいしたことのない謎解きがまるで隠された歴史の真実を暴いている重要な話であるかのように権威づけられてしまい、ストーリーそっちのけでマグダラのマリアだのシオン修道会だのの「真相はいかに」で注目を集めたわけである。
やってることは上記の「秘密結社作成マニア」と変わらないじゃん、というか、実際に大儲けしたわけだからもっと巧妙だったってことなんだけどね。
参考文献[編集]
- ダ・ヴィンチ・コード 最終解読 (皆神龍太郎) ISBN 4286006158