ヒットポイント

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ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディア専門家気取りたちが「ヒットポイント」の項目を執筆しています。

ヒットポイントは、主に演劇において使われる、演じる役の生命的・気力的な激しさを指示するときに使われる符丁。流派や演出をおこなう者によって細部は異なるが、ほとんどの場合整数であらわされ、台本や監督の指示に従って演者は感情・気力の起伏を変化させる。

概要[編集]

同一の役で演技する場合であっても、元気が無かったり生命の危機に瀕したりしている時と、気力・体力的に充実している時ではおのずと演技に差が発生する。演劇にジョブシステム、ルイーダの酒場やすれ違い通信などの特殊効果が使用されるようになってきた80年代後半から、そうした“細かな気力・体力の変化を監督や脚本家から演者に確実に伝える”という目的で演じる役の仮想的な体力を数値化して表記する方法が一部の演劇組織で採用され始めた。これがヒットポイントの始まりであり、現在でも大小様々な劇団で使用されている。

ヒットポイントの起源は70年代後半のアメリカであり、当時は数人で行われる小規模な演劇に使われていた。ヒットポイントを利用した台本を書くためのマニュアルも数多く発売され、サークル的活動を中心としてもてはやされた概念であった。日本ではそうしたアメリカの台本が翻訳されていたが、それには文法的な誤りが多く、広まることはなかった。

日本でのヒットポイントの使用は、1985年の演劇『竜との闘い』(えにくす)と『最後の物語』(劇団四角)が有名であり、どちらも数多く発表されている続編すべての台本にヒットポイントが採用されている。

この時、『竜との闘い』と『最後の物語』では記述されたヒットポイントの様式が異なっており、以降、日本ではこの二方式を軸として各演劇組織で様々な方式が混在している。

この項では『竜との闘い』(以降『D』)と『最後の物語』(以降『F』)でのヒットポイント記述様式を中心に解説し、その他の特記すべき様式については別に解説する。

システム[編集]

まず舞台の開始時(あるいは当該役の初登場時)に、その役のヒットポイントの最大値を指定する。これを最大ヒットポイントといい、ヒットポイントが最大ヒットポイントと同じ時に気力・体力共に万全であることを表す。ヒットポイントは最大ヒットポイントを超えることはなく、また最小値は0であることが多い。

以降、ヒットポイントの増減によってその役の演じ方を指示することになるが、疲労や怪我の表現の度合いはあくまでも最大ヒットポイントと現在のヒットポイントとの割合を基準としており、例えば同じ100の減少であっても最大ヒットポイントが110の役ならば半死半生の演技をしなければならないが、最大ヒットポイントが1000の役は少し疲れた程度で、演じ分けをする必要はない。こうしたことから最大ヒットポイントが小さい役の方が演じるのが難しいとされる。ただし10000分の1単位でヒットポイントの違いを演じ分ける役者も少数だが存在しており、そのような役者は大変重宝されている。

また、基準となるヒットポイントの桁数も演劇によって異なり、えにくすでは2桁から3桁、劇団四角では3桁から5桁の数を標準としている。劇団四角では「桁数を多くすればより細かい演技を指示できる」と主張しているが、実際にはそこまでの演技力を持った役者は少ない。結果として劇団四角の使用するヒットポイントは十分の一にすればえにくすのそれとほぼ同じ意味を示していると考えてよい。歌舞伎座任天堂で演じられる紙芝居『魔理男物語』では、1桁からせいぜい2桁の数値のみ使用して終盤まで完成度の高い作品になされた。ヒットポイント黎明期や短編前衛劇を除き、大衆長編作品でこのような実験的な作品はまれである(ただし『魔理男物語』自体は跳躍短編劇『超魔理男兄弟』をベースとしている。『超魔理男兄弟』の主人公は最大ヒットポイントが1あるいは2と設定されているが、これは短編劇では珍しいことではない)。

表示[編集]

どの作品でも基本的に、ヒットポイントの増減を指示する特別な表示方法が存在し、各劇団や作品ごとの個性として不可分な関係をなしているものもある。やはり『D』と『F』の二大主流が存在しているが、共通の特徴として“演者はもちろん、観客にも見えるように表示する”ようになっていることが挙げられる。これは小規模劇団時代の演技力・技術力の不足を補うためのアイデアだったが、現在ではヒットポイントのシステムを使用した劇でのいわばお約束のような物になっている。観客に見える表示のない劇は極端に実験的なものを除いてほとんど存在しない。

『D』
ヒットポイントを減少させることを「ダメージ」、増加させることを「かいふく」と特別の用語を使用し、監督が演者に直接通達する(この時、観客にもそれとわかるように文字テロップを表示させる)。
『F』
それぞれの演者付きのスタッフが、ヒットポイントの増減量を表したフリップを演者の前に掲げることで指示する。ヒットポイントの減少は白文字、増加は緑文字で区別し、その掲げ方も異なる。特に劇団四角のフリップ技術は大変厳格なものであり、主役のヒットポイント表示ができるスタッフは劇団内にも数える程しかいない。

状態異常[編集]

監督や台本がヒットポイントに関連して与える指示には、単なる増減以外に状態異常(ステータス異常)と呼ばれるものも存在する。瞬間的に行われる増減とは異なり、状態異常は 1)ヒットポイントに対する継続的な変化を指示するもの、2)周囲の状況やこれまでの傾向とは異なるヒットポイントの増減を予告するもの、の二つに大別できる。これらは組織ごとに、また演劇ごとにも様々な差異が存在しており、同じ語でも演劇によって意味が異なる場合もあるので注意が必要である。また、3)数値自体に特別な意味を持たせたヒットポイントの増減も同様の効果を持っているが、普通はこれを状態異常に含めない。しかし、演劇によって使われる用語(数値)が規則的な差異がある点など状態異常と共通する点があるのでここで併せて記述している。

記号 意味
どく・毒 役者が動作をするたびに、約8分の1ずつ疲労していくように演技する。最終的には死んでしまったり、立ち上がることができなくなったりする。
リジェネ 毒とは逆に、動作のたびに約8分の1ずつ元気になっていくように演技する。
スリップ 何か動作をするたびに転んでしまい、約8分の1ずつどこかしらを怪我してしまう。毒と似ているが、同時に萌え属性が付くのが特徴的である。
死の宣告 黒子により頭上にタイマーが設置され、それが0になった途端に演者は倒れる。舞台から立ち去ればタイマーは撤去されるが、他者が演技している間もカウントは続くのでわざと演技を延ばして倒れさせるというアドリブ芸も存在する。
眠り・睡眠 この後に避けられない大きなダメージが発生することを示す予告記号。
ゾンビ ヒットポイントの増減が通常と逆になることを示す予告記号。ただし逆になるのは回復(→増加が減少になる)のみ。
9999 主人公とその仲間は必ず倒れる。ただし、最大ヒットポイントが10000を超える劇ではその限りではない。主に演出上の都合で指示されるものの、多用すると興味を損なうので注意する。
9998 最大限に強まった登場人物ならば半殺しですむ。そうでなければ全殺しである。これもまた、限界を超えて強まった人にはその限りではない。
1(『F』) 誰かが対象の人物にアプローチをかけているが、ほとんど効果がないことを示す。演者はそのアプローチに対して反応してもよいし、しなくてもよい。ドリルを頭にかぶっていると、この指示をされることが多い。
1(『D』) 上と同じ表記だが意味は異なる。水銀状の怪物を相手にするときに多用され、『倒すか逃げられるか』というスリリングな展開を演出するのに使われる。

注意[編集]

これらの符丁は世間一般に認知されてはいるものの、演劇以外で人前で使用することは避けた方がよい。幸いにもコンビニにはヒットポイントを50だけ回復することができる飲料を時たま販売しているので、符丁のわかる演劇仲間と共に楽しむのが良いだろう。

関連項目[編集]