レイ・ブラッドベリ

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ぼくの町には、おもしろいお話をきかせてくれるおじさんがいた。おじさんの名前はレイ・ブラッドベリといった。


何かが道をやってくる[編集]

ぼくは、本ばかり読んでいる少年だった。 その日は、いつものように閉じこもって本ばかり読んでいるのを母さんに見とがめられ、「本をぜんぶ焼き捨ててしまうよ!」と脅しつけられて、しかたがないのであてもなくぶらぶらと歩いているうち、いつのまにか町はずれにある幽霊屋敷まで来ていた。

その幽霊屋敷の前で、しびれるような歌声歌っていたのが、ブラッドベリおじさんだったんだ。


メランコリイの妙薬[編集]

そのときのぼくは、本を焼き捨てられると思っていたから、よっぽど落ち込んだ顔をしていたんだろう。おじさんはぼくを呼び止めて、いろんな物語を聞かせてくれた。

刺青が動きだす男の話や、怪物が住む家に引き取られた子どもの話

おじさんの話は現実には決してありえないような不思議な話ばかりだったけど、 その不思議な情景が、まるで僕の目の前で起きたことのようにありありと浮かんできて、僕を引きつけ捉えて離さないのだった。

それからぼくは毎日、おじさんの家に通うようになった。

おじさんがいちばん楽しそうに話してくれたのは、宇宙の話だった。 宇宙の話をするときのおじさんは、まるで詩を朗読するように、よどみなく言葉が次々とわき出してくるようだった。

それに、おじさんは、なんでも宇宙に結びつけてしまう。

おじさんの家の入り口には大きく「R」と書かれていたのだけど、ぼくがおじさんの名前「レイ」(Ray」の頭文字だと言ったら、おじさんは笑って「ロケットのR」(R Is for Rocketさ」と言ったものだった。

「S、M、Lの中でいちばん大きなサイズはどれ?」という単純なクイズも、おじさんにかかれば「答えはS」となる。 なぜかって? 「Sは宇宙のS」(S Is for Spaceだから」だ。

そしてもうひとつ、おじさんは、ガレージの奥にあるを見せてくれた。その中には何か不思議なものが入っていて、おじさんが「何に見える」と聞くので、ぼくは「宇宙に見える」と答えた。おじさんは、満足そうに笑っていた。

おじさんの話を聞くのは楽しかった。ぼくは、その夏がいつまでも続けばいいと願っていた。


死ぬときはひとりぼっち[編集]

でも、ある日、いつものようにおじさんの家を訪ねると、出てきたのは おじさんではなくて、若い男の人だった。男の人はぼくを見て少し驚いた様子だったが、ぼくがおじさんに会いに来たと告げると、 「そういえば、かわいい友だちができたって聞いていたよ」と言い、それからすこしためらいがちに、「父は、昨晩亡くなったんだ」と告げた。

おじさんの形見をくれるというので、ぼくは、あの壜がほしいと言った。ガレージの奥の、不思議な壜。

彼は「探してくるよ」と言っておじさんの家に入り、それからなかなか戻ってこなかった。 ガレージの中にはいろんな物があったから、壜を探すのに手間取っているのだろうか。

ずいぶん長い時間が経ったような気がした。

ようやく出てきた彼が手にしていた壜は、透き通って、水がしたたっていて、あの壜とは似てもにつかないしろものだった。

「中にずいぶんカビが生えていたからね。よく洗っておいたよ」そう言って、彼は人の良さそうなほほえみを浮かべながら、ぼくにその壜を手渡した。

ぼくは、すっかりとまどってしまって、もぎ取るようにその壜を受け取ると、お礼も言わずにその場を駆けだしていた。


さよなら僕の夏[編集]

おじさんとの思い出が、あっという間に永遠の夢になってしまったように思えた。

からっぽになってしまった壜を投げ捨ててしまおうと、頭の上に持ち上げたそのとき、壜がまるで星ぼしのように、無数の輝きを放ったように見えた。

たぶん本当は、壜の表面にたくさんの細かい傷があって、それが町の灯りを反射しただけなんだろう。 でもぼくはなぜか、壜の中に宇宙があるんだって確信していた。 それに、おじさんは消えてしまったわけじゃないってことも。

そう、たぶんおじさんは、火星に青い壜を探しに出かけたんだ。それとも、太陽に黄金の林檎をとりに行っているのかもしれない。

いずれにせよ、ぼくがおじさんのことを忘れずにいれば、おじさんはあるとき何ごともなかったかのように戻ってきて、またぼくに不思議な話を聞かせてくれるだろう。

そのときぼくが大人になっていたら、この壜にたんぽぽのお酒を入れて、おじさんと一緒に飲むのもいいかもしれない。


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本項は第23回執筆コンテストに出品されました。