新本格魔法少女りすか
出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
『新本格魔法少女りすか』(しんほんかくまほうしょうじょ - )は、H.P.ラヴクラフトの遺作『手を切る女』(原題Severs her connections)を作家の西尾維新が翻訳した作品である。イラストレーションは西村キヌ。
目次 |
[編集] 翻訳までの経緯
『手を切る女』は、1929年にソニア・ハフト・グリーンと離婚したラヴクラフトが傷心旅行に訪れた日本の長崎に感銘を受け、執筆の合間を縫って少しづつ書き貯めていた作品であり、彼の死後、未発表原稿の中から発見された作品の一つである。完結しておらず、また日本にある実在の地名を使用している点など彼の他作品とあまりに掛け離れた内容から知名度は低く、また『りすか』以前の翻訳作品も1981年に民明書房から出版された『手を切る女』のみと、ラヴクラフト作品の中ではあまりパッとしない存在であり、西尾維新が執筆を明言した際も、西尾ファンはおろかクトゥルー神話のファンですら存在を知らない者がほとんどだった。
前述のように、彼の他作品との作風の違いから、他の作家が彼の名を利用して出版したのではないかという説が出版当初から根強く存在する。が、生前の彼の日記や周囲の人間に語った内容などから彼がこの作品を実際に執筆していたのは紛れもない事実であり、この説は陰謀論の一種とされている。
[編集] 原作との相違
登場人物の名前や地名などの根幹にあたる設定は同じであるものの、基本的に両者は全く違う話である。なので『手を切る女』を原作とした二次創作であるという向きもあるが、なぜか出版元である講談社は翻訳作品に分類している。
ホラー作品であった原作とは違い、どう読んでも能力バトル物である。その為か原作に多くみられた血生臭い描写は大分少なくなっている。
[編集] あらすじ
父親を捜すために旅をする少女、水倉りすかと、父親を超えるために旅をする少年、供犠創貴。お互いの目的のために協力しあう二人だが、本人たちも知らぬ内に、りすかの親である水倉神檎の箱舟計画へと巻き込まれていく…
[編集] 登場人物
[編集] 主な登場人物
- 水倉りすか(みずくら りすか)
- 「赤き時の魔女」「魔女狩り」の称号を持つ、長崎県森屋敷市出身の『魔法使い』。おおまかな人物設定は原作と同じである。小学五年生であり、時間を操作する魔術の使い手である。性格は基本的にはおっとりとしたお嬢様風の少女だが、沸点が低く、激昂すると尊大な口調になる。原作にはない設定として関取体系の男性が好みで趣味が相撲観賞、乾物系の食べ物が嫌い(せんべいを出された時は霧吹きで湿らせてから食べていた。)など、変な設定が追加されている。
- 父親を探す旅の途中で創貴と出会い、以後、行動を共にする。
- 原作では父親によって血液に様々な魔術を内蔵されており、それによって大抵の魔法は血液を流せば行使できるという設定となっているが、『りすか』では単に父親の英才教育の結果に変更されており、また使用時の出血も必要ない。また、自分の時間を十七年分飛ばして、強力な魔力を持つ『27歳の自分』に変身するという魔法を切り札にしているのも同様だが、死亡するほどの出血が必要な原作とは違い呪文の詠唱のみで変身できる。
- 27歳時のりすかは多少のばらつきはあるが(変身できるのはその時点からそのまま成長した場合の27歳になったりすかのみであるため)基本的に10歳時とは比べ物にならないほど好戦的でハイテンションであり、また時間停止や時を加速させるなど、高位の魔法も使えるようになっている。
- 供犠創貴(くぎ きずたか)
- 自ら「『魔法使い』使い」を自称する少年。聡明かつ尊大な性格の持ち主で、りすかと同じく小学5年生である。年齢不相応な頭脳を駆使してすべての人間を幸せにする事を目標としており、父親もまた当分の目標というだけで到達点ではない。単に頭が良いと言うだけではなく、公園で裸の女の子に覆いかぶさられている所を別の仲の良い女の子に発見されるなど、数々の修羅場を潜り抜けてきた豊富な経験も持ち合わせている。
- 原作では単に頭の切れる少年というだけだが、翻訳版ではリストカットの経験がある、年下の男の子に抱きつかれるとすごくスッキリする、戦闘中に不整脈を起こす、など、心身ともにアレな少年である。
- 父親を探す旅の途中のりすかと出会い、以後、行動を共にする。
- 新本格兇暴策士キズタカ(しんほんかくきょうぼうさくしきずたか)
- 創嗣が考案した佐賀県警捜査一課のマスコット。無論モデルは創貴である。『可愛らしい外見と凶暴な目つきがチャームポイント』との事。佐賀県警の婦警を中心に人気を博している。ちなみに創貴の出征時に創嗣が渡した軍資金はキャラグッツの売上の一部である。
- ツナギ(繋場いたち(つなぎば いたち))
- 元人間の『魔法』使い。原作と翻訳版で大きく設定が異なる。原作におけるツナギは男前な男性であるが、翻訳版ではりすからと同じくらいの年齢に見える少女に変更されている。原作、翻訳版双方とも自らの魔法により二千年以上生きている。
- 原作におけるツナギは水倉神檎の恋人であり、副官的なポジションにあったが、翻訳版では後述の城門管理委員会の実動部隊にして創始者であり、彼に「殺してもらう」為に水倉神檎を追っている。
- 彼女の魔法は体に五百十二の口を持ち、また食べた物全てを吸収・分解するというものであり、りすか同様水倉神檎によって組み込まれたものである。口はある程度の数までなら可能だが、数が多くなると制御できなくなってしまう。その為戦闘時には服を脱ぐようにしている。(なかなかアニメ化できない原因の一つである。)原作では名前の通りつなぎを、翻訳版ではだぼたぼの袖の無いシャツに長ズボンを穿いている。
[編集] 主人公たちの関係者
- 供犠創嗣(くぎ きずつぐ)
- 創貴の父親で佐賀県警の幹部で、全国の婦警は彼に逆らえない。バツ5で今の妻とは別居中である。ゲームが趣味で、女を口説くときは必ずゲームに誘うのが彼の常套手段である。昔の女は忘れる主義。創貴をして「この人には敵わない」と言わしめる人物であり、彼の目下の目標となっている。りすかのことは気に入っているらしい。(その事について創貴は快く思っていない。)得意技は地球割り。
- 水倉神檎(みずくら しんご)
- 「ニャルラトテップ」等665の称号を持つ強大な魔法使いにして当作品における黒幕。ツナギ同様原作と翻訳版で性別が異なる。非常に無口で娘との会話も他人を介して行う。なので若干空禁則事項です
- 原作では女性であり、りすかの母親で彼女の称号「赤き時の魔女」は、元は神檎が所持していた称号である。ツナギとは恋人同士の関係だが、ツナギがりすかの父親という訳ではない。
- 翻訳版では性別は男性へ変更されている。だが、「赤き時の魔女」の称号については性別なんて関係なくなるほどの高次の存在と、若干苦しい説明が作中でなされている。後述の箱舟計画の首謀者である。
- チェンバリン
- りすかの家にあるコーヒーサーバー。
- 水倉破記(みずくら はき)
- 「迫害にして博愛の悪魔」の称号を持つりすかの従兄。水倉神檎の兄の息子である。アレをかけた対象を不幸にする魔法を用いる。りすかを長崎へ連れ戻そうとしたのだが、創貴の百舌のモノマネにドン引きして一人で長崎へと帰って行った。原作では名前のみで称号や魔法は登場しない。
- 楓(かえで)
- カエデ科カエデ目の木の総称。モミジとも呼ばれる。詳しくは[1]を参照。五島列島に生えているとの噂もあるが詳細は不明。
- 供犠(折口)きずな(くぎ(おりぐち) きずな)
- 創嗣の四番目の妻で、創貴が唯一母親と認めた女性。元は少年課の刑事で、子供の扱いには長けている。不法侵入者用に炸裂式ワサビ入りカレーを開発したらしい。予知能力を持っているんだかいないんだかはっきりしない。
- 創嗣と離婚後、本州に移住したと創貴は思っている。しかし、作中の創嗣の言動や後述の塔キリヤ戦の描写から、何らかの魔法がらみの事件で死亡したと考えられるが現時点では詳細は不明。ただ、単純に創嗣に愛想を尽かして離婚した可能性も十分考えられる。
[編集] 魔法使い
- 高峰幸太郎(たかみね こうたろう)
- 福岡の地下鉄の運転士。作中、りすからが最初に戦う魔法使い。翻訳版においては水倉神檎の弟子であり、風を召喚する魔法を使う。りすか達にあっけなく倒される。だが、何気に後々出てきた敵キャラたちに比べれば根性がある。原作においてもほとんど変わらずに登場するのだが、魔法の習得については自ら望んで師事したような描写がされている翻訳版とは違い、彼の操り人形として事件を起こした様にも見える描写がなされている。
- 火住峠(ひずみ とうげ)
- 原作ではCDショップを営む魔法使いとして、翻訳版では水倉神檎の手下として登場する。どちらもツナギに食べられて死亡。原作では名前のみだが、翻訳版では頭部のみで登場。
- 影谷蛇之(かげたに へびゆき)
- 原作では火住に雇われた従業員として登場。実は少女の命乞いを聞くのが趣味のロリコンという裏設定があったのだが、それを生かす暇もなく雇主と同じ末路を辿る。翻訳版では火住同様水倉神檎の手下であり、後述の在賀織絵を誘拐した犯人である。彼女を救出に来たりすか達によって倒される。
[編集] 六人の魔法使い
原作においては後述の城門管理委員会の最高幹部連という事になっており、ほぼ全員が名前と称号が出てくるだけで本編には登場しないのだが、翻訳版においては水倉神檎の同士として箱舟計画に携わっている。実質噛ませ犬なので扱いが手下以下なのはご愛敬。
- 人飼無縁(ひとかい むえん)
- 「眼球倶楽部」の称号を持つ、自他共に認める「六人の魔法使い」中最弱の魔法使い。黒いローブと重力に逆らって直立するカイザル髭が特徴。いわゆる魔眼の持ち主で、その能力を悪用しようと小学校の周りをウロウロしていた。彼の魔眼の対象となると『体に電気が流れた様なショックを受ける』との事。また、相手の目と彼の眼を直線で結べる位置関係なら、例え相手が意識して彼の眼を見なくても発動できる。
- 全裸になったツナギの体を凝視している隙に彼女に食べられて敗北。
- 地球木霙(ちきゅうぎ みぞれ)
- 「回転木馬」の称号を持つ魔法使い。自らの体を自在に変化させることが出来る。彼との戦闘の大部分はカットされた。某漫画のキャラとの関係は不明。
- 人飼無縁と同様に、全裸になったツナギを襲おうとしたが返り討ちに遭い、彼女に食べられ死亡。
- 蠅村召香(はえむら しょうか)
- 「泥の底」の称号を持つ魔法使い。使用する魔法については明言はされていないが、他人に存在を認識されない魔法を使うものと考えられている。常人離れした観察力を持つ創貴がサイコロや携帯電話の存在に気が付かなかったのもその為であると考えれば自然であるし、彼らの置かれた異常な状況も、裏ではこいつが必死で動かないように抑えていたと考えれば説明はつく。
- また、ミステリー作家としての顔も持ち、特に密室物を得意とする。間違っても女性ではないし、対象に所有権がない物全てを固定する魔法は使わない。
- 塔キリヤ(とう キリヤ)
- 「白き暗黒の埋没」の称号を持つ魔法使い。対象の精神を別の並行世界へ引き込む魔法を使う。父親は塔バベルという有名な魔法使い。作中の説明によると、非常に貴重な能力ではあるのだが、やっぱりこいつも噛ませ犬である事に変わりはない。余談だが今回彼がりすか達を引き込んだ「魔法の存在しない世界」においては創貴と鍵がいわゆるア検閲により削除の15巻が発売されているなど、非常にカオスな世界になっていた。
- 結島愛媛(ゆいしま えひめ)
- 「偶数屋敷」の称号を持つ魔法使い。筋骨隆々な大男。「空気が集まってできている」と言われる程に影が薄い。尺の都合上一瞬しか登場できず、登場しても創貴に無視されるなど扱いは他と変わらず悪い。以外にも趣味は標本の制作である。
- 水倉鍵(みずくら かぎ)
- 10歳程度の少年であり、りすかの弟であるというのは原作・翻訳版ともに同様であるが、立ち位置は大きく異なる。原作においてはりすかの実弟であり、史上最年少にして城門管理委員会を束ねる天才少年である。城門管理委員会と共闘関係になった後のりすかたちのサポート役として登場、後半における準レギュラー的な存在となる。
- 翻訳版においては神檎側の人間として登場。神檎の養子であり、六人の魔法使いの参謀役。姉弟関係も書類上のもので、本篇以前にりすかとの面識はなかった。
- 原作・翻訳版共に魔法封じという特殊な魔法(能力)の持ち主。彼の周囲では魔法を発動できないというものだが、本来魔法封じは理論上では誰でも使える初歩中の初歩の魔法である。しかし、発動と同時に自らを無効化してしまうため実際の所は魔法としては成り立っておらず、誰でも使えるけど誰にも使えないと作中では表現されている。原作では単純に『彼の才能があってこそ使える魔法』とされているが、翻訳版ではそこから発展して魔法ではない、超能力の一種であると説明がなされている。
[編集] 城門管理委員会
表向きは「魔法の国」長崎と、他県の間にそびえる巨大な門「城門」を管理している組織であり、裏では長崎の外で魔法を悪用しようとする「悪しき魔法使い」を駆逐する為の攻勢組織である。原作、翻訳版で成り立ち、組織体系が大きく異なる。
- 原作においては前述の六人の魔法使いをトップとする集団で、当時の長崎の為政者が設立したとされている。九州地方を中心に、魔法の有無に関わらず様々な人間が所属している。体質としては自警団の一種であり、魔法を法律で明確に否定している事もあり、佐賀県警などの県外の公的機関をあまり信用しない風潮がある。
- 翻訳版においては江戸幕府が創設したことになっており(実際はツナギ)、ツナギ以外の構成員は魔法使いでない。明治になり幕府がなくなったことにより民間機関になった。
- ツナギ
- 城門管理委員会の創設者及び実動部隊。詳しくは主な登場人物の項を参照。因みに原作においては単身で城門管理委員会を壊滅させている。
- 椋井むくろ(むくい むくろ)
- 城門管理委員会の一員。肩書は城門管理委員会委員長秘書で、原作では登場しない。人飼無縁の餌食となる。
[編集] その他の人物
- 在賀織絵(ありが おりえ)
- 原作・翻訳版共に創貴のクラスメイトだったのだが、神檎の手下によって誘拐され、りすか達をおびき寄せるために利用される。後に創貴に救出されるのだが、『自分の本性を知られる訳にはいかない』との彼の判断により喉の最奥までアレで突かれて窒息死する。
[編集] 用語
- 長崎県
- 実在する長崎県とは大きく異なる。『魔法の王国』の別名から分かるように、魔法使い達による自治が行われており、佐賀県との県境は城門管理委員会の由来ともなっている巨大な『城門』がそびえている。対外的には単なる自治区としているが、その実態を知っているのは隣接する佐賀県でも極一部である。原作では城門管理委員会は実質的に長崎の行政組織の一つであるが、翻訳版においては設定の変更により行政の直接的な支配は受けていない。首都(長崎の人間はこう呼ぶが、県外の人間は基本的に県庁所在地と呼んでいる)は長崎市。現実の事件に則しているのか拳銃などの武器の類は比較的手に入りやすい。
- 魔法使い
- 読んで字の如く魔法を使える人の事であるが、作中では生粋の『魔法使い』と、『魔法使い』から魔法を習得した『「魔法」使い』の二つに大別する。
- 『魔法使い』は昔から存在したのだが、近年増加傾向にある。吸血鬼の伝承との類似も数多くみられ、海を渡ることが出来ず、一部の者以外は人の家には招待されなければ上がれない。
- 『魔法使い』が非魔法使いに魔法を教えることは稀であり、『「魔法」使い』の人口は非常に少ない。また、大多数の『魔法使い』は『「魔法」使い』を嫌悪する傾向にある。
- 箱舟計画
- 水倉神檎が企むりすかをキーパーソンとした計画…なのだが原作では明確に計画の内容が語られることはなかった。翻訳版においては時を操作するりすかの魔法によって、まだ大陸が全て一つに繋がっていた時代までタイムスリップし九州から外へ出るという、急がば回れ的な計画である。そして彼女のレベルアップの為に用意されたのが『六人の魔法使い』である。
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