渋滞
渋滞 (じゅうたい)とは、自動車を持ち寄ってどれだけ長い列を作れるかを競う多人数参加型エクストリームスポーツのことである。日本ではもちろん、世界各地で開催されている。本稿においては、特に触れない限り日本国内でのこのスポーツについて解説する。
列の長さは、以前は長くとも10km程度という記録が多かったが、1980年代に入ると急速に伸び、40kmをこえる記録も現れ始めた。90年代には3桁の大台に乗ることが普通となり、1995年末にはついに名神と東名高速をまたいだ154kmという記録も生まれている(琵琶湖の東から浜名湖まで続いた。最後まで満喫したひとがいるかどうかが気になります)。海外では、1980年2月16日にフランスのパリ-リヨン間で174kmという記録が叩き出されており実に素晴らしいことである。
ルール[編集]
- とにかく長い列を作る。長ければ長いほど良い。
- 無駄に車間距離を開けることは禁止される。車間距離が一定以上(大会によって違う)になると、列がそこで途切れたとみなされてしまう。
- 参加後、先頭から順に帰宅する。安全運転でね♪
- 原則として自転車や二輪車の参加は認められない。ただし巨大バイクは可能。稀にこのルールを知らずに参加する二輪車もいる。
- 自動車や運転免許を所有していない者は、バスやタクシーに乗車することによって参加することができる。路線バスの場合、トイレの装備があるため楽である。
- 道路だけでもなく、鉄道でも開催されることがある。この場合はより多くの人が参加できる。
- 肛門の決壊、路肩走行等は失格となる。
- 参加中の事故、故障、燃料切れなどで渋滞要因となった場合、個人点として+100pt/回で加点を行う
競技の様子[編集]
高速道路で開かれる全国大会はお盆や年末年始、大型連休時期の風物詩である。普段は日常生活に追われて参加できない愛好者のために、こうした長い休暇を利用して開くことが多いのである。休日になると毎週のように開催されている地方大会もある。
それより小さな大会は年中、どこでも開かれている。都市部では毎日、通勤時間にあわせて早朝に開催され、通勤という殺伐とした時間を爽やかなものに変えてくれる。また常設会場もあり、深夜のように参加者自体がいない時間を除き、常に渋滞が開催されている。
休日を利用した大会の場合、競技のあいだじゅう家族で車に乗っていることが多く、会話が非常に弾む[1]。愛好者たちはこれこそ良いスキンシップになると考えている者が少なくない。しかし、初心者の中にはかえって険悪なムードになる者もおり、以後の参加を見合わせる者もいるという。これは大変に残念な話である。コツさえつかめば渋滞は楽しい競技なのである。

渋滞を楽しむために[編集]
- 一人で参加する場合、普段はゆっくりと聞けないCD(など)を持ってゆくとよい。携帯でのウェブ閲覧やメールに熱中するのも良いが、道路交通法は守ること。
- お菓子や飲み物は忘れずに。大会によっては300円まで(バナナはおやつに含まれない)に制限されていることもある。
酒は言うまでもない - 途中で疲れてくる場合もある。これはやむを得ない話である。この場合、脱落して休憩しても良い。
- 参加中、なかなかトイレに行けないことが多い。予め用を足しておくこと。なお、トイレの前では車ではなく人間を使ったミニ渋滞が開催されている。こちらは女性の参加者が多い。このミニ渋滞を愛好する者もいるらしい。但し、男性であれば路肩で立ち小便することも出来る(大会によってはできないこともある)。
- 予め会話のネタを仕込んでゆく者もいる。ここまで行くとプロである。
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歴史[編集]
渋滞の歴史は紀元前にさかのぼる。最初の大会が開かれたのがいつであるのかは明確ではなく、共和制ローマの時代には既に馬車を利用した渋滞が行われていたとの記録がある。帝政ローマ時代に移ってから、ゲルマン人が民族総出で超巨大規模の渋滞を作ろうと試みたとの記録があるが、開催直前に会場が変更されたために参加者の大部分が迷子になり、そのまま現地に住み着いてしまうというトラブルがあった。もし成功していれば不倒の大記録となったことが間違いないだけに、残念な話である。
渋滞のルールが整備され、公式競技となったのは実は19世紀に入ってからであった。従って、これ以前の渋滞は、ルールの相違や記録の問題で公式には認められていない。ルール整備の背景として、産業革命を経て馬車を所有する人が増え、参加が容易になった一方、安易な開催で事故が多発したことがある。実際、19世紀のロンドンはゲリラ的に開催される渋滞のために交通網が麻痺したと言われている。フランスでは主催者団体と行政が一体となって、渋滞に適した道路造りが進められた。ただしこれは容易なことではなく、伝統的な小路を次々と破壊して都市全体を改造する必要があった。こうした計画は政治家であり渋滞愛好家であったジョルジュ・オスマンが主導となり、「市民と渋滞の共存を」「正しい渋滞を作ろう」とのスローガンの下でって行われ、結果として現在のパリの町並みを形作ることとなった。
日本においては長らく、渋滞は市民権を得ることができなかった。都市が馬車などの乗り入れに適していなかったこと、そもそも市民の主な移動手段が徒歩であり、渋滞を開催する余地が無かったことなどがその理由である。明治以後も日本は、伝統的に自動車競技への理解が薄く、戦後のモータリゼーションの時代にようやく競技が輸入、1960年代には都市構造の大改造を行って欧州並みの「理想的な渋滞」が開催されるようになったが、その後のオイルショックで一転、大量のガソリンを燃やす渋滞は批判の的となった。結果として日本は渋滞の歴史の浅い国となり、多くの愛好家を抱えるにもかかわらず、未だにアングラ的な競技となっているのも事実である。
愛好家団体は、将来的には「社会と共存できる競技」への発展を望んでいる。一方で政府は、渋滞への締め付けを徐々に増しており、競技の存続そのものを危ぶむ声も大きい。
批判[編集]
渋滞は車さえあれば誰でも参加できる競技であるが、一方で批判もある。
- 環境問題
- 渋滞は大量の車がエンジンをかけたまま参加するため、大気汚染や二酸化炭素排出の面で負荷が大きい。国は大会を快く思わず、道路を競技に不向きな構造にすることで間接的にこの競技を規制している。
- 交通事故
- 車が多くなればそれだけ事故も増える。また、競技への参加を急ぐあまり、列の末尾に追突してしまう初心者が後を絶たない。列の中でも追突が起きることがある。主催者は安全な参加を呼びかけているが、完全な改善は難しいようだ。
- 無関係な車への影響
- 渋滞は公道を使って開催されるため、無関係な車が参加車輌に遮られることがある。ただし、大会が遅刻や遅延の言い訳として活用されるのも確かである。
また、参加者はマゾなのでは? という意見もある。愛好家団体は特に反論はしていないようである。
有名な大会[編集]
高速道路[編集]
- 首都高速道路
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- 箱崎ジャンクション・両国ジャンクション・江戸橋ジャンクション(向島線・小松川線・深川線・都心環状線)
- 3つのジャンクションでほぼ一体的に行われるため、長さはそれほどでもないが、多方向から参加でき、人気の大会である。常設会場。
- 東京港トンネル(湾岸線)
- 毎月5の倍数の日と月末、および東京港・川崎港・横浜港に貨物船が入港した日を中心に開催される。また頻度は少ないものの羽田空港への大名行列を通すために警視庁主催で開催することもあり、外国のお偉方が東京にやってきたときや総理大臣や皇族が外遊する時に開催される。この場合は並行する国道357号や、有明ジャンクションから先のレインボーブリッジ~都心環状線にまで及ぶこともあり、審査員が沿道に立つ。
- 小菅ジャンクション~堀切ジャンクション(中央環状線・向島線・三郷線)
- こちらも2つのジャンクションで構成される常設会場。向島線~三郷線の流れと中央環状線の流れが交錯するため常時開催中。中央環状線でも内回りの葛飾ハープ橋付近、外回りの葛西ジャンクション手前で偶発的に開催され、後者は週末や連休の朝に開催されることが多い。
- 竹橋ジャンクション(池袋線~都心環状線)
- 常設会場。主に池袋方面から東名や湾岸線を目指す参加者で賑わう。箱崎ジャンクションの渋滞が竹橋までつながることもよくあることである。
- 大橋ジャンクション(中央環状線~渋谷線)
- 地下の中央環状線と高架の渋谷線をらせん構造で結んでいる。速度が落ちるうえに2車線が1車線に絞られるため、合流先の3号渋谷線からでも参加できる。
- 葛西ジャンクション~葛西ランプ/舞浜ランプ(湾岸線)
- 週末や連休を中心に開催される。参加者の多くは東京ディズニーリゾート合衆国への入国希望者。
- 錦糸町~両国ジャンクション(小松川線)
- 日常的に開催。錦糸町インターから箱崎方面ジャンクションへ進むときには両国ジャンクションで向島線が合流してくるため、小松川線はたたでさえ2車線しかないものを、1車線にして、向島線を受け入れ、めでたく2車線となる。そこまで長くなることはないが深夜早朝ではない限り行われていることが多い。
- 関越道
- 冬場の上り線はスキー客が死ぬほど帰省するため、群馬県内は大規模に開催される。谷川岳PAor下牧PAで参加準備してから臨みましょう。あ、あと埼玉の花園あたりもよく開催されます。
- 練馬インターもよくやってる。距離は5kmぐらいで短いものの、参加時間が100分くらいと長すぎるので、参加者の皆様は脱水にならないよう手前のぱさーる三芳で飲み物を買おう。
- 常磐道
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- 守谷サービスエリア下り方面
- 参加後に休憩スポットが用意されている。
- 東北道
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- 佐野藤岡インター~久喜白岡ジャンクション上り線
- 晴天の日の午後から夕方にかけて開催。よくアウトレット大会と言われている。(似たような大会が御殿場や軽井沢で開催されている)参加後に蓮田サービスエリア、参加途中でも利根川を渡った直後に羽生パーキングエリアがある。
- 東関東道・京葉道路
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- 宮野木ジャンクション
- 京葉道路の料金所が会場となり穴川まで続くことがある。また連休や夏期を中心に東関東道~館山道の流れで開催される。
- 湾岸習志野料金所
- 幕張メッセや千葉マリンスタジアムで大規模なイベントが開催されるときに、それらの参加者によって開催される。2013年からは岡田帝国への出入国者が加わるようになった。
- 花輪インター上り
- だいたい休日に開催。花輪(上り)出口は一般道まで短く信号も短いため、日常的に行われている。休日には幕張インターより前の武石インターから続いていることもあり、幕張PAを通り抜ける事でショートカットするものもいる。ちなみに現在はそのまま通り抜けできないようになっている。
- 中央道
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- 小仏トンネル
- いつものように開催されている。無意識にスピードを落としてしまう魔法のコース。今後トンネルがもう1本増えるらしいが、焼け石に水であろう。
- 東名
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- 綾瀬スマートインター・横浜町田インター上り方面
- その名のとおり上り坂。参加前に海老名サービスエリアが用意されている。最近車線が1本拡幅されたが、依然として人気は衰える所を知らない様子。
- 富士、沼津、御殿場各インター
- 他とは違った路肩での開催。なお普段はのけ者にされる二輪車も125cc以上のエンジンを積んでいれば参加できる貴重な大会。長期休暇限定。
- 岡崎インター付近
- 毎日開催!出勤するリーマン達が競うように参加。
- 東名阪
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- 鈴鹿インター上り方面
- 主に土日に開催。伊勢道、名阪国道、新名神の3道から鈴鹿サーキットや御在所へ行く際に参加することが必須。毎年10月上旬頃に行われる、F1日本GPの際にはあまりにも酷すぎて、途中で離脱する人も出てくる。
- 鈴鹿インター下り方面
- 主に土日に開催。せっかく暫定3車線を整備したのに、鈴鹿インター手前で業者のやる気が無くなってしまったため、鈴鹿インターの1kmほど手前で2車線になってしまうことによる渋滞。F1日本GPの際には、鈴鹿サーキット公式が参加を非推奨しているものの、公式が案内する迂回ルートの23号でも小規模な大会が開催されている。
- 名神
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- 天王山トンネル
- 文字通り「天下分け目の戦い」を標榜する、西のメッカ。お国の介入(改修)を経た今でも相変わらず人気は高い。
- 京都南インター
- 高速を降りる人として参加。上り線は第1出口と第2出口が存在するのに、開催されているのは第1出口のみである。京都東インターでも開催されていることがある。
- 中国道
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- 宝塚東・宝塚西トンネル
- 開催が日常化されている。これは、山陽道、阪神高速北神戸線、神戸淡路鳴門道、舞鶴若狭道などの大阪と地方を結ぶ道路がこの近辺で集中しており、またトンネル近くに速度取り締まり機もあるためである。ただし、日中は開催されていない。
- 九州道、大分道、長崎道
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- 鳥栖ジャンクション
- 独特の構造により、人気があったが、サガンクロス橋の開通により人気が落ちた。ただ、構造上、元の道に戻ってしまう車が多い。無限ループすることによってさらに長時間、好きなだけ楽しむことができる。
- 広川インターチェンジ、サービスエリア
- 九州内で上り下りとも人気が高い。特に下りは手前でザグ、車線減少、速度規制、上り坂、急カーブと基本の型が連続しバラエティーに富んだコースとなっている。最後は3択が用意され、「サービスエリアでご褒美」、「インターチェンジで強制退場」、「本線で競技継続」の選択を迫られる心理的トラップも設けられており参加者を飽きさせない。まるで、高校生クイズの突撃マルバツ泥んこクイズみたいだ。
一般道路[編集]
- 町田市
- 毎日開催される。市の全域および周辺地域まで含まれるほどの大規模な常設会場は珍しい。
- 町田駅周辺、町田・鎌倉・鶴川・成瀬の4街道
- 常設会場。町田市やその周辺の多くの市民が自家用車や満員の路線バスで参加するため、ほかの会場よりも一人当たりの競技時間は短いが、参加者数はかなり多くとても賑わう。
- 相原・多摩境周辺
- 上記の中央道会場で競技が行われると発生する。中央道から東名へ町田街道や16号を使用して目指す参加者で賑わう。
- 長津田辻・横浜町田インター
- 上記の東名会場と同時開催されることが多く、東名・16号・246号・町田街道など周辺道路がほとんど会場となるため、参加者数がより広がる。
- 厚木市
- ここもほぼ毎日朝夕開催される。
- 金田陸橋の国道246・129合流交差点は地獄。
- さらにクソかなちゅうのバスが客空っぽの癖に無駄に多いせいで渋滞の原因となっている。
- 市川市
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- 国道14号(千葉街道)
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- 本八幡駅~鬼越周辺
- 沿線に市川市役所とニッケコルトンプラザを控える常設会場。鬼越で木下(きおろし)街道からの流れが加わる。
- 県道6号(行徳街道)
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- 行徳橋
- 京葉道路の市川インターに出入りする車とその先のコルトンプラザ来場者、千葉街道への流れが組み合わさる常設会場。
- 船橋市
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- 国道14号(千葉街道)
- 国道357号
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- 若松交差点~日の出交差点
- 沿線に工場や物流センターが林立するため、主に出入りのトラックが参加する。また船橋競馬場の来場者、休日はららぽーとの来場者も加わる。
補足[編集]
- ^ ただ稀に、その家庭の子にとって、例えば説教や尋問などの都合の悪い話をさせられることがある。エクストリームスポーツとして楽しいことばかりではないのだ。[要出典]