UnBooks:さるかに合戦
序章[編集]
とある晴れた日のことである。海を眺めておにぎりをほおばるカニの姿があった。
「これから生まれてくる子たちのために、たくさん栄養つけなきゃ。」
カニはのんびりくつろいでいた。
そこにサルがやってきた。
「カニさんよぉ、この柿の種とおにぎり、交換しないか?柿を育てりゃうまい実が食べ放題。悪くないと、思うぜ?」
そういうと、サルは一方的に勝手に交換して、立ち去ってしまった。
「仕方ないなぁ。でもおにぎりはまた作ればいいもんね。」
カニはとりあえず、柿の種を植えることにした。
暗転[編集]
ほどなく、子供が産まれた。
柿が大きくなるにつれて、子供達もたくましく、成長した。
「母さん、柿の実が成ったよ。早速食べてみよう!」
柿の木のもとにいくと、サルが勝手に柿の実を食べている。
「サルよ、その柿はかつて、母さんに譲った柿の種から育てた柿だ。勝手に食うとは何事か?」
カニの子達は怒り心頭である。「よお、カニども。お前らこの木に登れるのかよ?ああ?」
サルは強気だ。そして、あろうことか、未熟な実をもぎ取り、カニの母めがけて、投げつけた。当たりどころが悪く、母の体は砕け、絶命した。
出現[編集]
「サルよ…なぜそこまでしなければならない?命まで奪う必要がどこにある?覚えていろよ」カニ達は復讐を誓った。
そこに簡単に味方が現れた。
「その話、俺をのせてくれ。報酬は、この因縁の木がいい。安心しろ。毎年いくつか実を提供する。俺は殺し屋だからな。」
すると、殺し屋はすぐにサルの後を追った。
ほどなく、血達磨になったサルをを殺し屋が連れてきた。
「カニ達よ。このサルで間違いないか?」
「いや、違う。こんなに整った顔はしていない。」
ハサミでサルの頬をスーッとなぞると、血がにじんだ。
「フフフ、たしかこんな顔だったかなぁ?」
カニ達はサルの耳を削ぎ落とした。
ギャァァァァァ!
「殺し屋さん、このサルは違うから鍋にする。一緒に食べて、例のサルを探そう。」
罪なきサルは鍋にされ、その生涯を閉じた。鍋の中で上げた断末魔は、海にむなしく、鳴り響いた。
連鎖[編集]
殺し屋が次につれてきたサルを見て、カニ達は言った。
「尻尾がなかったなあ。そう、こんな具合にね」
そのまま、つれてきたサルの尻尾を切り落としてしまった。
ギャァァァァァ!
サルが悲鳴をあげる。
「よぉ、サル。お前らの仲間には俺達カニがさんざん世話になったからな……たっぷりお礼をさせてもらいますよ」
大きなハサミで、サルの顔面を殴った。
「殺し屋さん、このサルはゆっくり食べるとしよう。申し訳ないけど、また探しましょう。」
集結[編集]
殺し屋がサルをつれてきた。
「よお、こいつが最後のサルだ。もうここら辺にはサルはいないぜ」
「ちぇっ、じゃあ、こいつ、ってことにするか」
「久しぶりだなぁ、クソザル。お前の顔はいかにも醜い」
カニはサルの目を一つ。えぐり出した。
ギャァァァァァ!
「一つは残してやる。お前には母さんの気持ちがわかるようにな。」
カニ達は、サルの耳をゆっくり切り取った。サルが悲鳴をあげる。
ギャァァァァァ!
次にハンダゴテを使い、サルの額を焼いた。
ギャァァァァァ!
皮膚の焼ける匂いが母への供養だ。
ゆっくりゆっくり…。額にバカと書き込んだ。
ギャァァァァァ!
サルは悲鳴を上げ続けた。ほどなくサルが気絶した。しかし、カニはサルの指の爪をハサミではがした。サルが絶叫とともに意識を取り戻した。
「おい、サル。何か言ことあるだろ?」
しかし、もはや、会話にならない。
「ちぇっ、話にならないや」
サルは縛り付けられたまま海に放り込まれた。
こうして、サルは絶滅し、カニ達は平和に暮らしたのであった。