UnBooks:平和主義者
むかしむかし、あるところに、とてもこころのやさしいひとがおりました。
そのひとは、とてもへいわをあいしていたので、みんなから「へいわしゅぎしゃ」とよばれていました。
「へいわしゅぎしゃ」とは、たたかうことやあらそうことがだいきらいなひとのことです。
あるひ、「へいわしゅぎしゃ」のいえに、どろぼうがはいりました。
どろぼうはこわいぶきでみんなをおどかし、「かねをだせ」といいました。
「へいわしゅぎしゃ」はたたかうことがきらいだったので、いえのおかねをぜんぶどろぼうにあげました。
そうすれば、どろぼうはまんぞくしてかえってくれるとおもったからです。
でも、どろぼうはかえってくれませんでした。
それどころか、こんどはおそろしいぶきでみんなをおどかし、「おまえのむすめを、およめによこせ」といいました。
「へいわしゅぎしゃ」はあらそうことがきらいだったので、かわいいひとりむすめをどろぼうによめいりさせることにしました。
そうすれば、どろぼうはまんぞくしてかえってくれるとおもったからです。
どろぼうは、おおよろこびでむすめをとてもかわいがりました(いろんないみで)。
それでも、どろぼうはかえってくれませんでした。
それどころか、ついでに「へいわしゅぎしゃ」のおくさんにまでいけないいたずらをしたのでした。
さすがに「へいわしゅぎしゃ」もがまんができなくなり、どろぼうに「もう、いいかげんにかえってくれ」と言いました。
でも、どろぼうはへっちゃらでした。
なぜなら、「へいわしゅぎしゃ」はいつもくちばっかりで、おこらせてもこわくないとしっていたからです。
そこでどろぼうはいいました。
「おい、おれはむすめのはなむこだぞ。
ちちおやははなよめとはなむこがくらすいえをよういするのがしきたりなのだから、このいえをおれたちにゆずりわたせ」
こまった「へいわしゅぎしゃ」はなにかをいおうとしましたが、やはりどろぼうのぶきがこわくていえませんでした。
とほうにくれた「へいわしゅぎしゃ」はなきながらいえをでていき、それからどうなったか、だれもしりません。