UnBooks:砂時計
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「あと10分です」
女はそう告げ、暗い部屋に彼を閉じ込め去っていった。
僕は目の前の光景を目にした。巨大な砂時計がある。僕はその砂時計の威圧感に押し潰されそうになった。
砂時計の砂は残り少ししか無かった。最初僕はその意味が分からなかった。しかし時間が経つにつれだんだん息苦しく感じてきた。
「まさかこれは...」
僕は顔が青くなった。恐怖による物かチアノーゼによる物かどうかは分からない。僕はなんとかその巨大な砂時計をひっくり返そうとした。
しかしピクリとも動かない。当然だろうな、高さが10メートル程あるとにかく大きい砂時計。そんな物を僕みたいなか弱い14歳の少年が動かす事は不可能だ。僕の心は次第に崩れてきた。
「じょ、冗談じゃない!」
僕はとにかく動かそうとした。しかし動かない。息がだんだん出来なくなる。僕は焦っていた。しかし僕はふと考えた。
「まさか、僕を此処に連れてきたあの女に聞けばどうにかなるんじゃないか!?」
僕は砂時計を動かす事よりも、ドアを開ける事に専念した。砂時計の砂は止まることなく落ちてゆく。僕はドアを開ける事に成功し、長い廊下を走り抜けた。
僕は女を見つけた。そして彼女の背中を掴もうとした。しかし、触れようとした瞬間、息が出来なくなり、体が急に重くなった。