UnBooks:赤ずきんちゃん

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
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 むかしむかし、あるところに、とても可愛らしい女の子がいました。名前をサリーといいました。
 ある時、サリーのおばあさんが赤の布で、女の子のかぶるずきんを作ってくれました。
 そのずきんがサリーにとても似合っていたので、みんなはサリーの事を、『赤ずきんのサリー』と呼ぶ様になりました。

 ある日の事、お母さんはサリーを呼んで言いました。
「サリーや、おばあさんが病気になってしまったのよ。おばあさんはお前をとっても可愛がってくださったのだから、お見舞いに行ってあげなさい。きっと、喜んでくださるから」
「はい、お母さん」
「それじゃあ、このケーキと、上等なワイン、ドン・ペリニヨンを一本持ってお行き」
 サリーがおばあさんの所へ一人で行くのは始めての事だったので、お母さんは心配でたまりません。
 でもお母さんには用事があって、一緒に行けないのです。
「いいですか、途中で道草をしてはいけませんよ。それから、オオカミに用心するのですよ。オオカミはどんな悪い事をするかわからないから、話しかけられても知らん顔しているのですよ」
「はい、お母さん。大丈夫よ」
 赤ずきんのサリーは、お母さんを安心させるように元気良く、
「いってきまーす!」
と、言って、出かけて行きました。

 おばあさんの家は、自宅から歩いて三十分ぐらいかかる森の中にありました。
 その日はとても天気のよい日で、サリーがスキップしながら歩いていると、そこへオオカミが現れたのです。
「こんにちは。赤いずきんの可愛い子ちゃん」
 オオカミはニコニコしながら、赤ずきんに話しかけました。
 赤ずきんはお母さんに言われた事を思い出しましたが、動物好きの赤ずきんには、ニコニコしているオオカミが悪い動物には見えません。
「こんにちは、オオカミさん。赤ずきんのサリーです。」
 赤ずきんのサリーが鉄拳で返事をしてくれたので、オオカミはグシャりと笑うと尋ねました。
「赤ずきんのサリーさん、どちらへ?」
「あのね。おばあさんのお家よ。おばあさんがご病気だから、お見舞いに行くの」
「そうかい。それは偉いねえ。・・・おや?そのバスケットの中には、何が入っているのかな?」
「ケーキとドンペリよ。おばあさんのご病気が早く良くなる様に、持って来たの」
「なるほど、それでどこだい?おばあさんのお家は」
「森のずっと奥の方よ。ここからなら、歩いて十五分くらいかかるわ」
「十五分か・・・」
 オオカミは、ちょっと考えました。
(ばあさんの家を探して、ばあさんを食べてしまうには、もう少し時間がいるな。よし・・・)
「赤ずきんのサリーさん。おばあさんの家に行く前に、周りを見てごらんよ。こんなにきれいに花が咲いているし、小鳥は歌っているよ。せっかくだから、楽しく遊びながら行ったらどうかな。たとえば、花をつむとか」
 赤ずきんは、オオカミの策略を見抜いて、あえて、のりました。
 花をつんで持って行けば、おばあさんはきっと喜んでくれるに違いありません。
「そうね、オオカミさん、あなたの言う通りだわ。あたし、お花をつみながら行くわ」
 サリーはさっそく、色々な花を探し始めました。

 さて、サリーと別れたオオカミは、そのまま真っ直ぐ、おばあさんの家へ行きました。
 トントンと、戸を叩くと、
「はいはい。どなたかの?」
と、言う、おばあさんの声がしました。
 オオカミは、女の子の様な声を出しました。
「赤ずきんのサリーよ。ケーキとブドウ酒を持って来たの。開けてちょうだいな」
 それを聞いたおばあさんは、うれしそうな声で、
「おや、サリーかい。さあさあ、カギはかかってないから、戸を押して入っておくれ。おばあさんは体が弱っていて、ベットから起きられないからね」
「そうかい。それじゃあ、遠慮なしに」
 オオカミは戸を押し開けると、ベッドに寝ているおばあさんに飛びかかりました。
 オオカミは、怖さのあまり気を失ってしまったおばあさんの着物とずきんを取ると、あとはパクリと、おばあさんを丸飲みにしてしまいました。
 それからオオカミは、おばあさんの着物を着て、おばあさんのずきんをかぶり、ベッドの中へ潜り込みました。

 その頃、赤サリーはまだ花を取っていましたが、やがて手に持ちきれないほどたくさん取ってしまうと、やっとおばあさんの家へ行く事を思い出しました。
「頃合ね。」
 おばあさんの家に行ってみると入り口の戸が開いていたので、サリーはズケズケと入って行きました。
 サリーが家の中へ入ると、いつもと違った、変な匂いがする様な気がしました。
「潜り込んでるわね。」
 部屋の奥のベッドには、おばあさんが寝ています。
「フフフ。こんにちは、おばあさん」
 サリーが大きな声で挨拶しましたが、何の返事もありません。
 サリーは、ベッドに近づきました。
(オオカミさんなにしてるのかな?)
 サリーはあえて、おばあさんに尋ねてみました。
「おばあさん、おばあさんの耳は、ずいぶんと大きいのね」
 すると、おばあさんに化けたオオカミが言いました。
「そうとも、お前の言う事が、よく聞こえる様にね」
「それに目が大きくて、光っている。」
「怖がる事はないよ。可愛いお前を、よく見る為だから」
「それに、おばあさんの手の大きいこと。おばあさんの手は、こんなに大きかったかしら?」
「そうだよ。大きくなくては、お前を抱いてあげる事が出来ないもの」
「それから何と言っても、その大きなお口。おばあさんのお口があんまり大きいので、びっくりしちゃったわ」
「そうとも。大きくなくては、お前を・・・」
「・・・お前を?」
「食べられないからさ!」
 オオカミはそう言うと、バキッ!!
「うぇっ」
 オオカミは、赤ずきんのサリーに一撃でたたきのめされました。サリーの通り名は血染めのサリー。クマを素手で倒す手腕が人々にこう呼ばせるのでした。

 そこへ、いつもこの森で狩りをしている猟師(りょうし)が通りかかりました。
「おや?なんか倒れている。なんだろう?」
 猟師が家の中へ入って、ベッドに近よると、
「ややっ! これはオオカミではないか!」
 猟師は気絶しているオオカミを鉄砲で殺してしまおうと思いました。そして、狼の眉間に猟銃をあてがい、打ち込みました。額から血液が流流と流れてきました。漁師は大きなはさみでオオカミのお腹をジョキジョキと切り始めました。
 「おばあさんも物好きね。私より強いのに、あえてオオカミのお腹で遊ぼうなんて。」
 サリーが指をバキバキ鳴らしながら、ゆっくりと狼に近づきました。
「よっこらしょ。やれやれ、ひどい目に会ったよ」
と、出て来ました。
 おばあさんはサリーに言いました。
「サリーや、庭にある石をたくさん持って来ておくれ。この悪いオオカミを、こらしめてやらないとね。ヒッヒッヒッヒ。」
しかし、オオカミは先ほど、眉間に風穴を開けられています。
血染めのサリーとおばあさんこと、死神マリー、そして猟師の三人で、オオカミの肉を取り、石焼にしたのを肴に、ドンペリを味わうのでした。