UnNews:ディオゲネス、正直な整備士を世界で探し求める

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
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秀逸な警句を追求するのに余念のないディオゲネス(右)

イギリス、マンチェスター発 ——デヴィッド・ストレイハーン氏は、ボンネットを開いた1985年型日産セントラの脇に、クリップボードを携えて立っていた。時刻は早朝であり、この39歳の自動車整備士のガレージに光はほとんど差し込んでいないが、顧客が掲げているランプで、ストレイハーン氏はその有様を申し分なく見てとることができた。

「そのう、申し上げにくいんですがね、トランスミッションのようです」脅すように絶え間なく彼を睨んでいる背の高い鬚の男に、ストレイハーン氏は伝えた。ランプは微動だにしなかった。

「エンジンの残りの部分から金属を吸い込んでいて、それが問題を引き起こしています」顧客から目をそらしながら、ストレイハーン氏は続けた。「そうですね、ええっと、費用はおそらく1000ポンド程度で済むでしょう」

その顧客は、しばらくその場から動かなかった。やがてランプが消され、ボンネットが閉じられ、車は再び表に出された。

「女が真珠の首飾りやダイヤモンドの指輪を必要とするほどには、俺の車は新しいトランスミッションを必要とせん筈だ」愛車でハイウェイを下りながら、シノペのディオゲネスはそう呟いた。「必要なのは、せいぜいトランスミッションの洗浄程度だ」

このトルコ系ギリシャ人の自称哲学者は、彼の車の本当の問題点を診断してくれる正直な整備士を探し求めて、22年物の愛車を世界中の自動車修理店に乗り回し続けている。

「整備士どもは車を突っつき回すことを競い合っておる」ディオゲネスがそう言うと同時に、車がエンストした。「なのに、美徳の追求で競い合おうという整備士は、ついぞ現われなんだ」

ディオゲネスは彼の愛車をギリシャ、シチリア島、ペンシルヴァニア、ニューヨークの整備士たちに見せて回ってきたが、この哲学者に言わせれば、その中の誰一人として「彼の車の率直な問題点」を指摘した者はいなかった。

ディオゲネスの1985年型日産セントラ

「あの、髭もじゃの臭い男のことですか?」ニューヨーク市マスペスでレイノリー自動車修理店を経営しているマイク・レイノリー氏は言う。「ええ、覚えていますとも。あの男の故障は、テールランプの電球の断線でした。私はあの男に、電気系統を丸ごと修繕しなければならないと言いました。それが何らかの理由で、あの男を怒り狂わせたようです」

「彼は、ラジエーターの調子が悪いと私に言いました」ペンシルヴァニア州バックス・カントリーにあるE.C.サイズモア自動車修理店のアンディ・バルボーニ氏はこう証言した。「新しいキャップがあれば充分なことは分かりましたが、我々のやり方はご存知でしょう——私はラジエーター全体を交換する必要があると言いました。すると彼は『聖なる冷却材の流れが、今ではその源に向かって流れている!』と叫んで、立ち去ってしまいました」

ディオゲネスの探索行は多くの人々からシニカルなものであるとの評判を得ているが、ディオゲネス自身は常に前向きであり、彼の愛車はもはや耐用年数が尽きているという指摘を、頑としてしりぞけ続けている。

「なぜ止まらねばならぬ?」彼の前に立ちふさがった老人ドライバーに、怒りを込めてクラクションを鳴らしながら、ディオゲネスは言った。「俺の車がもう長い間走り続けて、終りが見えてきたのであれば、立ち止まるよりも先を急ぐべきではないのか?」

多くの人間がディオゲネスの探索行に共感しているにも関わらず、整備士の中には、ディオゲネスの自動車修理に関する素人判断が、彼の問題をより悪化させていると主張する者もいる。ペンシルヴァニア州マナユンクにあるエドの自動車修理店のビル・ジャブロンスキー氏によれば、彼はディオゲネスが車を持ち込んですぐに問題に気付いた。

「車にどんな種類のオイルもまったく使われてなかったんですよ」ジャブロンスキー氏は言った。「だから私はオイルを補充するよう薦めました。すると彼は私の目の前で——そのう、彼自身をもてあそび始めたんです。私が『一体何をやってるんですか?』と叫ぶと、彼は『こうやって擦るだけで、オイルも満たされればいいんだがなあ』と答えました」

ストレイハーン氏はトランスミッションを調べていた時に、ガソリンタンクに詰められた数個のタマネギを発見したという。「それは危険な行為であるというわけではありませんが、それでも非常に奇妙なものです」というのが、ストレイハーン氏の談である。

ディオゲネスは自分の探索行が終わりに近づきつつあることを信じている。ヘッドライトを横切った牡鹿に罵声を浴びせると、ディオゲネスは目に付いた最初の自動車修理店に入っていった。店の表には数台の錆び付いた廃車が並べてあった。ディオゲネスは愛車をそれらの隣に停めると、店内に姿を消した。数分後、ディオゲネスは夜間整備士を伴って再び現れた。

「で」整備士が言った「お客さまの車はどちらで?」

ディオゲネスの回答。「俺は俺の車を探しているのだが、俺の車を奴隷の車と見分けることができんのだ」


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